-報告ダイジェスト(1)開催にあたって

ごあいさつ 藤井賢彦(地球環境研究所の北海道大学大学院准教授) 抜粋

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-私自身は、「エネルギーチェンジ」の必要を感じて再生可能エネルギーを推進する立場です。専門は海洋生態系でして、地球温暖化あるいは海洋酸性化という現象にともなってそれがどう劣化するかを評価して将来を予測する、という研究をしてきました。

-二酸化炭素を含む温室効果気体が温暖化の原因だと考えられていますから、その削減を目指すべきだ、というところまでは、おそらく多くの方に合意していただけると思うのです。 そのためにエネルギー政策も変える必要があり、まず省エネ・節エネを進める、といったことの必要性については、大半の合意を得られると思います。 一方で、化石燃料発電から原発もしくは再生可能エネルギー発電への転換が提案されてきました。原発への転換については合意は得られていないと思いますし、再生可能エネルギーに関しても課題が多く残っているわけです。

-きょうはこれから、いろんな立場の方たちとの議論を通じて、どこまで合意できていて、どこから先の合意を探らなければならないかを考えていきたいと思います。 先日の『北海道新聞』が紹介してくれたように、立場の異なる人たち同士が議論を交わす、全国でもチョー珍しいフォーラムです。なかなかない機会ですので、ぜひ活発な議論をお願いします。

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エネチェンからの問題提起 吉田文和(愛知学院大学経済学部教授) 抜粋

002yoshida-私はドイツの脱原発や再生可能エネルギーへの取り組み をずいぶん調べてきました。ドイツ政府は、それまで進め てきた放射性廃棄物処理計画をいったん白紙に戻す決定を しましたが、その当事者たちに聞くと、「最大の教訓は、 関係者の参加と透明性がいかに大切かということだった」と話してくれました。 北海道固有の問題としては、まさにこのフォーラムのトピックですけれど、道北地方でいま、膨大な数の風力発電所の建設計画が進んでいる問題があります。

-アセス書類には「地元意見」が書かれています。それを見ると、地元では立地賛成派が多いようです。反対の声を上げているのは地元ではごく一部で、そのほかは外部の自然保護団体が反対している、という構図になっています。 道北地方で人口減少が加速していることが背景にあると思います。過疎化が猛烈に進んでいるなかで、新たな経済効果への期待感は強いでしょう。

-一番大きな論点は、累積的影響をどう評価するかということです。これだけ多数の風車を集中的に建てた時の影響をどう見るか。しかし事業者の配慮書や方法書では、個々の候補地全体の評価はするんだけれども、いったいどこにどれだけ建つかという情報公開が不十分で、配慮書を読んでも分かりません。個別の立地審査だけでは不十分なのに、国も道も、累積的影響評価の方針ははっきりしていません。

-現状ではそもそも、アセス書類が手に入らないんです。縦覧期間が過ぎたら手に入らなくなるなんて、この情報化時代に「情報公開」とは言えません。

-これから道北地方で風力発電を進めるなら、環境アセスメントの評価書づくりに専門家や地域の関係者が参加する形がありうるし、今の制度のままでも工夫次第で可能ではないでしょうか。

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はじめに 長谷川理氏(エコネットワーク) 抜粋

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-このフォーラムが紹介された北海道新聞の記事でいえば、僕は「慎重派」ということになるでしょうか。

-今日お集まりいただいたみなさんも、お考えはさまざまだと思うんです。はっきりと「風力発電には 反対、風車は不要」とおっしゃる方もいるかもしれませんし、逆に「もっと導入すべき」という方もいらっしゃるでしょう。「生態系への懸念はあるけど、エネルギー問題も無視できない」とか、「自然エネルギーを推進したいけれど、ホントに問題がないか心配」という葛藤をお持ちの方もいらっしゃると思うんです。 今日のこの場は、いろんなスタンスの方が集まって情報共有する場です。僕自身も、いろんな立場の方に話を聞か せていただき、より深く考える機会にしようと思って、コーディネーターをお引き受けしました。

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>ちょい読み!報告ダイジェスト INDEX
>報告(1)開催にあたって
>報告(2)第1部 再生可能エネルギーと野生生物の共存〜風力発電の可能性と課題
>報告(3)第2部 自然環境保全のもとでの再エネ推進は可能なのか
>報告(4)ディスカッション【1】自然環境保全と再エネの共生をさぐる
>報告(5)第3部 北海道の風力発電と自然環境保全、開かれた議論のために
>報告(6)ディスカッション【2】北海道スタイルの開かれた議論の場を目指して

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フォーラムの全内容を記録した報告書は以下の2種類です。

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-報告ダイジェスト(2)第1部

第1部 再生可能エネルギーと野生生物の共存〜風力発電の可能性と課題 

「風力発電が野鳥に与える影響〜自然エネルギーと野鳥の共存を目指して〜」
浦達也氏(公益財団法人日本野鳥の会自然保護室 主任研究員) 抜粋

006ura-風力発電が増加するにつれて、いわゆる「環境紛争」も発生するようになりました。風車建設にともなう野鳥問題は2000年ごろから取りざたされ始め、以降これまで議論が続いてきました。いっぽう、騒音・低周波問題はこの5~6年で顕在化してきたといえます。 なぜ野鳥問題が生じるかと言えば、風力発電も野鳥も、ともに風のある場所を求めるためです。とはいえ風車を建てたら必ず野鳥が衝突するのかといえば、決してそうではありません。むしろ悪影響を及ぼすのはごく一部の風車です。事前の予測が不十分で、建てる場所を間違ってしまった場合に問題を引き起こしてしまいます。 もしこのままバードストライクの問題を解決できなければ、「風車を建てる=鳥が死んでしまう」というマイナスイメージばかりが膨らんで、風力発電全部が嫌われてしまうことになりかねません。だからこそ、鳥と風車の問題はきっちり解決しなければならないと思います。

-日本野鳥の会は「渡りのルートや、多くの個体が出現する場所には風車を建てるべきではない」 という考えです。一例を挙げると、幌延町浜里の風力発電所計画に関して、風車によって渡り鳥がルート変更を余儀なくされている事例などを環境省に伝えるとともに、普通 種への影響を評価すべき、といった意見を伝えています。

-累積的影響を評価する指針を日本政府は持っていません。海外ではすでに10 年前から必要性が議論され、野鳥保護区やレッドリスト掲載種 の生息地、多くの鳥が利用する場所に新たに風車を建てる 場合は、必ず累積的影響評価をしなさい、と定めている国もあります。日本も急ぐべきだと思います。

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「洋上風力発電と海洋生態系への影響および漁業協調について」
中原裕幸氏(一般社団法人海洋産業研究会常務理事) 抜粋

004nakahara-日本国内で実際に発電事業が行なわれているのは3カ所。一番古いのは実は北海道でして、2004年ですからもう10年以上前ですが、日本海側の瀬棚町(現せたな町)の瀬棚港の非常に大きな防波堤の内側に1基600kwの風車2機が稼働しています。実はこの段階から漁業協調の考え方が出てきています。山形県酒田港では、海岸の埋め立て地と防波堤の間の狭い水路に風車が建っています。近くの砂浜にもずらっと(陸上)風車が並んで、一緒に風車群を形成しています。3カ所目が茨城県の鹿島港で、テトラポッド護岸のすぐ外側に風車が並んでいます。3・11の地震と津波にも耐えたことが地元の事業者の自慢です。近い将来、同じ鹿島港港湾区域に数十基規模のウィンドファームを建てる計画が着々と進んでいます。このほか国内の4カ所で実験的な洋上風力発電が行なわれています。

-環境影響がどれほどか、どのような協調が必要かという議論を進めるときに、どこにいくつの風車をどういうレイアウトで設置するのかという前提条件をまず示すことが出発点です。ですから、このフォーラムの冒頭に吉田先生が 「アセス配慮書の段階ではどこにどれだけ建つのか分からない」とおっしゃったのを聞いて、「えーっ、そんなことがあるのか」と思いました。洋上風力の場合、漁業者であれ地方自治体であれ海上交通の方々であれ、「ここにこういうものをこういうふうに建てるんだけど、どうしましょうか?」と最初に条件を示さないと話が始まりません。

-「事業者も漁業者もともにメリットを共有できる方式であること」「地域の活性化に貢献すること」、それから吉田先生もおっしゃった通り「透明性を確保した合意形成」、この3つが必要だということです。

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>ちょい読み!報告ダイジェスト INDEX
>報告(1)開催にあたって
>報告(2)第1部 再生可能エネルギーと野生生物の共存〜風力発電の可能性と課題
>報告(3)第2部 自然環境保全のもとでの再エネ推進は可能なのか
>報告(4)ディスカッション【1】自然環境保全と再エネの共生をさぐる
>報告(5)第3部 北海道の風力発電と自然環境保全、開かれた議論のために
>報告(6)ディスカッション【2】北海道スタイルの開かれた議論の場を目指して

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フォーラムの全内容を記録した報告書は以下の2種類です。

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-開催概要

エネチェン・フォーラム「風はだれのもの?」
北海道の自然と再生可能エネルギーの共存について、

情報と知恵を出し合い、開かれた議論をしよう。

20150829chirashiA■日時 2015.8.29(土) 12:30 OPEN  13:00 START
■会場/北海道大学大学院地球環境科学研究院D棟201号
■資料代 一般800 円 学生・会員600円
■参加方法 事前申込要・先着順200名 FAX、E-mail等で申込み

【内容】

ご挨拶 藤井賢彦(北海道大学大学院地球環境科学研究院准教授)*
問題提起 吉田文和(愛知学院大学経済学部教授)*

■第1部 再生可能エネルギーと野生生物の共存〜風力発電の可能性と課題
「風力発電が野鳥に与える影響〜自然エネルギーと野鳥の共存を目指して〜」
浦達也氏(公益財団法人日本野鳥の会自然保護室)
「洋上風力発電と海洋生態系への影響および漁業協調について」
中原裕幸氏(一般社団法人海洋産業研究会常務理事)

■第2部 自然環境保全のもとでの再エネ推進は可能なのか
「WWF鳴門市再生可能エネルギー普及プロジェクト
〜地域と共存できる再生可能エネルギーのあり方について」
市川⼤悟⽒(WWFジャパン⾃然保護室気候変動・エネルギーグループ)
ディスカッション【1】自然環境保全と再エネの共生をさぐる
コーディネーター 長谷川理氏(エコ・ネットワーク主任研究員)
パネリスト 中原裕幸氏・浦達也氏・市川⼤悟⽒・吉田文和・藤井賢彦

■第3部 北海道の風力発電と自然環境保全、開かれた議論のために
「科学的な環境アセスメントのための情報の収集・解析・公開」
金子正美(酪農学園大学環境共生学類教授)*
「環境アセスメントとアセスメント情報の公開について」
後藤達彦氏(NPO法人EnVision環境保全事務所)   「環境アセスメントを活用する~より民主的かつ透明な決定を目指して」
遠井朗子(酪農学園大学環境共生学類教授)*
ディスカッション【2】北海道スタイルの開かれた議論の場を目指して
コーディネーター 長谷川理氏
パネリスト 金子正美・後藤達彦氏・遠井朗子
鈴木亨(NPO法人北海道グリーンファンド理事長)*
宮本尚(北海道エネルギーチェンジ100ネットワーク代表)*

おわりに 藤井賢彦、宮本尚

【登壇者プロフィール】こちらをご覧ください。
*印の登壇者は北海道エネルギーチェンジ100ネットワークの委員です。

主催/北海道エネルギーチェンジ100ネットワーク
共催/北海道大学大学院地球環境科学研究院藤井賢彦研究室
協力/エコ・ネットワーク 認定NPO法人北海道市民環境ネットワーク

案内チラシダウンロード
表面 http://www.enechan100.com/2015forum/20150829enechanA.pdf
裏面 http://www.enechan100.com/2015forum/20150829enechanB.pdf

本フォーラムは、公益財団法人北海道新聞野生生物基金の助成金をいただいて開催しました。
Facebookの本イベント案内ページ https://www.facebook.com/events/875190399218893/